いつごろから蛇口の写真を撮っているの。
●もう20年近いから、80年代の始めぐらいだね。
なにかきっかけがあったのかな。
●なんだろうなあ。町の写真を撮っている中に、蛇口がたくさん写っていたということかな。そのうち、蛇口だけ撮りにいくようになった。   
なるほどね。いままでで、数でいうとどれくらい撮った。
●1万枚近いんじゃないかな。
1万枚! そりゃすごいね。
●20年だからね。
国の数でいうと、何ヵ国ぐらい。
●外国は10ヵ国ぐらい。   
あれは小さいものだから、ヨリで撮るのとヒキで撮るのと、見える世界が違うでしょ。ヨリとヒキとは、どういう意図で決めるの。
●一番は、そのときの気分だね。古い蛇口はヨッちゃったほうが面白いと思うけどね。
そりゃそうだね。古いのは形が面白いものね。
●たたずまいがいいものはヒキにして、まわりを入れこんでね。   
やっぱり、まず形の面白さにひかれるのかな。
●まあ、そうなのかな。あとは、金属質のものって、その環境の中で違和感があるじゃない、ピカッて光っていたり。   
そこに注意が向くわけだ。
●そう、なんだろうと思って。あのね、植木の多い町には蛇口がいっぱいあるんだよね。
なるほど、そうか。

●植物と相対するものでしょ、金属質だし。だから目立つ。   
植物が多いというと、ほら、下町なんかでさ、よく鉢植えとかたくさん置いてあるじゃない。
●そうだね、路地とか。そういう植物を丹精しているところには、かならず蛇口がある。植物が少ない町には、やっぱり蛇口も少ないからね。   
そういうのって、観察だね。自然に町の観察になっている。地方とか、ロケに行ったときなんか、面 白いのがあるんじゃない。
●うん、かならず探すからね。その町のたたずまいとか、けっこう分かったりするよね。住んでいる人の顔が、多少見えるようなところがある。大事に使っている人とか、乱暴に使っている人とか。   
いままでで、これは傑作とか、自信作というのは。
●ないね(笑)。   
そりゃそうかもしれないね(笑)。傑作とか自信作とかいう世界じゃないものね。村角さんは村角句会の宗匠なんだけど、蛇口の句は作ったの。
●まだ作ったことないな。   
それはぜひ一句作ってもらいたいね。できたら、ここに載せようよ。

 


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