-------日本歴史の重要なルーツ-------
福岡の西隣・糸島半島からの隔月連載WEBエッセイ
 

博多湾の糸島半島側から見た志賀島


連載15
古代伊都国文化 余りにも今日的なもの

 

 代伊都国が古代日本文化形成のための重要な基点、出発点の一つであることは周知の歴史的事実。

連載12でご紹介した国指定重要文化財「内行花文鏡」(八咫鏡)の発掘、九大の新キャンパスの予定地での古代前方後円墳7基、古代円墳68基、多数の製鉄炉跡の 発掘などに古代の息吹を改めて感じさせられる。
の古代文化の豊かな宝庫の地で、それらとは対照的に余りにも今日的な若者に出会った。

 2002年8月22日〜26日に開催された第9回広島国際アニメーション フェスティバルで1438点の応募作品の中から選ばれたおよそ70点中、グランプリは逸したものの佳作として話題となったのが、Director & Producer 真島理一郎制作の「Ski Jumping Pairs」。

たまたまこのフェスティバルを東京から取材に来ていた私の長女、紀子が彼の作品に興味をもち、名刺を交換したところ、前原市在住!

取材後私のところへ来ることになっていて、瑞梅寺川を挟んであちらとこちらという近い所に向かい合って住んでいることが分かり、またまたビックリ。

長女から真島さんとの取材について、はじめに述べたような意味でオモシロイと興奮したものの数日間どのように取材するか思案していた。

世代や感性のひらき、馴染めないIT の世界が気にかかっていた。しかし、会って見て、そんな懸念はふっとんでしまった。

真島さん(私としては君と呼んではいいのではと思いたくなる?)は千葉県の習志野生まれ、佐賀県多久で育ち、千葉大工学部工業デザイン科大学院を1998年に卒業。

福岡の キャナルシティなどの商業施設開発の会社に就職し、博多湾に接する先進的なウォターフロントにあるアリノアシティの観覧車の設計デザインの仕事などに関わり、その完成後、 映像の制作に魅せられ、デジタル・ハリウッドという映像専門の学校で研修に熱中し、その結実として「Ski Jumping Pairs」が誕生した。

「ナレーターが大まじめで2006年トリノ・オリンピックで新競技種目、二人の選手が 一つのスキーに乗って美しく華麗な演技を競う場面を報道する」という仮想と現実のスレスレの接点をユーモラスに、サワヤカにアピールしている。


※[Ski Jumping Pairs]の約10分のビデオ(¥1,500)を見ると、奇妙でユーモラスなこの作品のほんとうの面白さが分かる。ぜひご覧あれ!
※この作品のより詳しい解説はこちらのサイトへhttp://cafe.cdn-japan.com

彼とコーヒーを飲んで作品について話した後、駐車場 に出て撮影をした。

その時、新しい仕事らしき連絡がきた。

彼の未来を予見させるいい表情だ。

背景に日本のルーツのように見える
重厚な瓦屋根のこの辺り独特の
家屋が見える。

「そうだ!そうだ!……」と言わんばかりに飛来したカササギがけたたましく叫ぶ。

羽根の付け根辺りが白く、樹に留まると全身真っ黒に見えるこの オナガに似て、やや大きい、別名カチガラスが4,5羽「カチッ!カチッィ!」と叫び続けていた。



 
日、単身赴任のかたちで東京に引っ越すという慌しい時に近くにある志登(しと) 神社で再度、彼に会うことができた。

4年前にこのすぐ近くに移り住んで「この神社がここにあるとは知らなかったし、ここに来たのは初めて…」と言う。

この辺りは古代あるいは、それ以前は東の博多湾と西の加布里湾とが糸島水道で繋がっていた。

だから水道の北側は島だった。

現在の志摩町の由来が分かる。

糸島水道の中央にあるこの社の祭神が海の女神といわれているのは航海安全の祈願のためであったのだろう。鳥居の前に粗く切り出した石柱に重々しいしめ縄がかけてあるのは、この辺りの共通のスタイル。

志登神社の石柱はスリムな方で、びっくりするほど素朴な石柱もある。

右に見える石柵の中には今から2000年前ほどの1m×2mぐらいの巨石を4,5個の石で支えている有名な支石墓がある。
 

彼は感慨深く見つめていた。古代対現代のコントラスト。

その関わりから彼はまた新しい映像をクリエイトするにちがいない。

彼の未来を祈念し、彼を東京に送る!

 

追伸・真島さんの作品は「デジタルコンテンツグランプリ2003」「新しい才能の部」で「金の翼」賞を受賞しました。
詳細は
http://www.dcaj.org/d-con/con/mmgp/2002awards/index.htm


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KITANE.Hajime
北根 肇 コピーライター、エッセイスト
1926年4月25日生
〒819-1102 福岡県前原市高田297-9   TEL:092(324)7297 FAX:092(324)1182
e-mail : kitane@jc5.so-net.ne.jp
●日本美学会、民族芸術学会、日本旅行作家協会会員
●京都大学文学部哲学科美学美術史専攻卒。
●専門分野:美術、デザイン(建築一般・キリスト教の教会建築・家具インテリア・商品一般 )、鉄道、香水、自然環境・都市空間の景観、文化的所産の民族的・歴史的背景。
●得意エリア:日本(とくに古代伊都国)とヨーロッパ。
●著書:『現代芸術七つの提言』共著『世界の香水』『ルイ・ヴィトン独創への共感』の編集ほか海外取材記事多数。
●趣味:旅行、鉄道模型(0ゲージ)、鯉の飼育、現在市販されていないもののコレクション(蓄音機、SPレコード、手動計算機、蛇腹式カメラなど)。
 
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