博多湾の糸島半島側から見た志賀島

 

連載9
砂浜がキュッ、キュッと 鳴く
姉子の浜
(あねごのはま)
                            

 岡の西、前原市を通 り過ぎて、海岸線に沿って美しい紺碧の玄海灘を眺めながら、西に向かって車で20分ほどドライブすると、二丈町(まち)の「姉子の浜」に着く。 浜辺に接して駐車場がある。そこに車をとめて一休みして玄海灘の美しさを味う。駐車場にある「Sun Sun Sea」という休憩所で鳴き砂のスポットを聞けばよい。ここは二丈町観光協会の事務所でもあるから、鳴き砂について親切に教えてくれる。
砂浜のよく乾燥しているところを、およそ1000m先に見える小さな岬へ向かって歩いて、砂浜が右にややカーブしている辺りに行くと、足元の砂が キュッ,キュッ!クイッ!と鳴くのに気がつくはず。

 
 
鳴き砂が広がる姉子の浜 (合成写真撮影:北根)
 

 うして、このように鳴くのか?を二丈町役場の都市整備課の磯部さんに教えていただいた。この辺りの砂浜の後背地は花崗岩が多く、その花崗岩に含まれている柔らかい長石や雲母が風化しながら川から海辺に運ばれて、石英の細かな粒の多い、砂浜が形成される。その石英含有率が70%以上になると、鳴き砂になる。細かな石英の粒が軋み合い、その間の空気とが振動して微妙な音を発するのだそうだ。少しでも汚れていたり、湿っていると全く鳴かない、鳴けない。「姉子の浜」が如何に綺麗であるかという証拠。英語では Musical Sand とか Thinking Sand と言われている。

 
鳴き砂粒子の形状

 こ
の鳴き砂ができる条件がもう一つあるという。それは、砂浜の長さが1500m以下で、 外洋(玄海灘)に面して、砂浜が微妙に弧を描いていることなのだそうだ。波の微妙な流れが弧 を描いて砂を洗うのだそうだ。 この鳴き砂のビーチは日本全国で23カ所。九州ではここ、「姉子の浜」が唯一。


 

 この貴重な砂浜をなんとしても守っていかねばならないという地元の人たちの思いは強い。嬉しいことに「鳴き砂を守る会」があるとのことで、その会の吉住さんと石井さんにお会いすることができた。
二人とも60歳後半の年代の方で、小学生のころは砂浜で遊んでいると、どこでも、  よく鳴いていたとのこと。ところが戦後になって、さまざまな開発が進み、土砂が海に流れ込んだり、砂浜に漂着ゴミが散乱したり、遊びに来た人たちが灰や油などで砂浜を汚したために鳴かなくなってしまった。たばこの吸殻のポイ捨て、焚き火、花火、バーべキュウなどによる汚染は鳴き砂にとっての天敵だ。鳴き砂が昭和30〜40年代ごろから全く鳴かなくなってしまった。

 

 

 そこで地元の心ある人たちが集まって砂浜の清掃に取り組んだ。まさに鳴き砂ルネサンス運動。真冬真夏の過酷な条件での作業を忍耐強く続けた甲斐あって、砂浜が再び鳴き始めた。それは今から8年前、1993年(平成5年5月)のこと。再び鳴き始めるという例は、これまでにないらしい。2月ごろの鳴き砂の調べは最高で、まさにMusical Sandずばりの魅力的な鳴き声だという。ぜひ聞きたいものである。

 この再び鳴き始めた2年後の1995年6月25日に町民全体が盛り上がって、「鳴き砂を守る会」(会長:山崎七郎)を結成して、町ぐるみで,毎月第2日曜日に砂浜の徹底した清掃を始めた。平均して100名の人たち、ある時はそれ以上の人たちが積極的に参加する。その結果 ゴミが増えることはなくなったが、まだまだ。花火や焚き火は、とくに鳴き砂にとって致命的ダメージを与える。貴重な鳴き砂のビーチを皆で守り、多くの人たちに大いに楽しんで頂きたいものである。


小さな岬の手前、砂浜が右にややカーブしている辺りが鳴き砂のスポット

 
写真・地図資料提供:福岡県二丈町観光課
 

問い合わせ先:
※「鳴き砂を守る会」事務局Tel・Fax 092−326−5501


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KITANE.Hajime
北根 肇 コピーライター、エッセイスト
1926年4月25日生
〒819-1102 福岡県前原市高田297-9   TEL:092(324)7297 FAX:092(324)1182
e-mail : kitane@jc5.so-net.ne.jp
●日本美学会、民族芸術学会、日本旅行作家協会会員
●京都大学文学部哲学科美学美術史専攻卒。
●専門分野:美術、デザイン(建築一般・キリスト教の教会建築・家具インテリア・商品一般 )、鉄道、香水、自然環境・都市空間の景観、文化的所産の民族的・歴史的背景。
●得意エリア:日本(とくに古代伊都国)とヨーロッパ。
●著書:『現代芸術七つの提言』共著『世界の香水』『ルイ・ヴィトン独創への共感』の編集ほか海外取材記事多数。
●趣味:旅行、鉄道模型(0ゲージ)、鯉の飼育、現在市販されていないもののコレクション(蓄音機、SPレコード、手動計算機、蛇腹式カメラなど)。
   
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伊都国通信は隔月掲載の予定です。
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