今週のお買いあげ

「石関芋平展」にて大皿
ザラリとした土の質感の中に白い二はけが清々しい
このお皿にサラダを載せるとさくさくパリパリと野菜の瑞々しさがいっそう引き立ちます。
昨日は鰯の南蛮漬けを載せました。なにを載せてもおいしそうに見えます。
(ペ)
 
 

 


Vol.10[某月某日 石関芋平展]


広尾の改装した一軒家の二階に僕の勤めるデザイン事務所が、そして一階にはいもへゑさん夫妻が住居兼アトリエを構えていた。
オブジェに囲まれたヒッピー姿のいもへゑさんを異星人を見る思いで二階の窓から眺めていたが、いつしか一階のアトリエに上がり込むようになったのは、もう30年以上前のこと。
いもへゑさん主催のデッサン教室に通ったり、同人誌に参加したり、冗談のようにバスケットボールチームを作り、いきなり国立競技場脇の体育館で某セミプロチームにボコボコにされたり、そうそう、毎晩のように麻雀も打ちました。
永く勤めたそのデザイン事務所を辞めるとき、「半年くらい遊びたいんだ」と言ったら、小笠原・父島の飯場を紹介してくれたのもいもへゑさん。土方の先輩でもありました。
広尾のアトリエを引き払い菅平高原に会員制ペンションと陶芸教室を開いたのは20年程前。
隔年で個展を開き一回とばして4年ぶりの今回は10回目となる。
広尾のアトリエでもらった作陶を始めた頃のコップは今にも倒れそうだし、とげとげのついたお皿は厚くて重くて食器というよりオブジェと言った方がよかった。

無骨な肌合いは変わらないけど、トップページのお皿のようになにを載せてもおいしそうに見えるように、いもへゑさんの創る器もいつしか使う人の手になじんでいった。
ごついから壊れないということもあるけど(?)我が家の食卓には三度三度、いもへゑさんの器がその一角を占めているし、欠かせないものになっている。


陶芸作品とは別に会場を区分けして「俳品非碑」というテーマでオブジェを展示している。
アトリエのまわりに落ちていたものばかりだという材木の切れ端や炭俵、木の枝、縄などを構成して黒いセメントを吹き付けたと言う。
ごつごつした黒い表面はモルタル仕上げといったところ。
ははあ、「俳品」は「廃品」でもあるなあ。「非碑」は「碑に非ず」=「モニュメントに非ず」と言うことですか?
毎回、個展の案内には「作っちゃったから見に来てください」と記し、もよおしてひりだした排泄物のように自作を語るいもへゑさん。
これはテレや韜晦というより、作為と無作為を超えいわば自然に生えてきた作物を穫り入れるように作品を創りたい、という製作態度から来るのだろう。
でもこの製作態度は難しい。
まず作為と不作為の間に横たわる、昏くて深い河はそう簡単には超えられないよ。
今まではこの河を超える作業は、あの作品に付いていた長い長いタイトルを書くことだったんだ、と今回僕は思った。
「少し離れたところから、ドドドドドドってコンプレッサーで吹き付けるんだよ」 と気持ちよさそうに話すいもへゑさん。
会場を占める「非碑」は一週間ほどで一気にできちゃったそうだ。
絵筆ではなくコンプレッサーで、しかも無彩色の黒を吹き付けることで、あの河を超えると言うより両者を包み込む方法を、そして作物を穫り入れることができたんではないですか?
だから、作品個々にタイトルがないんですよね。

こうなったら、次回は会場をドドドドドドって吹き付けるところから始めたらどうでしょう。

 


石関芋平展「俳品非碑」
2003年4月9日(木)〜18日(金)
世界観ギャラリー&ギャラリー銀舎
Tel.03-3293-6334
http://www.gallery-mase.com
 

 
(2002 Vol.1-7) [番外編]ペリカンのW杯日記2002年6月
2003 Vol.8 Vol.9 Vol.10 Vol.11 Vol.12 Vol.13 Vol.14 Vol.15 Vol.16 Vol.17 Vol.18 Vol.19
2004
 
 
text & photo/PELICAN