堆積物の中に手を差し入れかき混ぜて、水底に舞い上がるチリの一つ一つに、眼を凝らしてみようと思った。(前回参照)
なんて、力みかえっちゃって大丈夫かなあ・・・
評論家ではないので、厳密な裏付けは取らないし、勘違い記憶違いは避けられそうもないなあ。
それに「一つ一つに眼を凝らして」と言っても、見たことも聞いたこともないアルバムもある。
そこらあたりは、周辺情報でお茶を濁すことになりそうだ。
と言っても、年内一杯この内袋ネタをとろとろ続けようと思う。
内袋を語るにあたって、ぼくの他に当時の事情をよく知る3名を招いて、立体的にアルバムの周辺を語っていただくことにした。
ま、気楽な漫談と言うことで、お付き合いください。
対談者 PROFILE
7列5段、35枚のアルバムがずらりと並んでいるが、実は内袋の反対側にも同数のアルバムが並んでいる。
こちらはクラシックばかりなので、クラシック音痴のぼくにはコメントしようがないが、詳しい人は30数年前のアルバムにそれなりの感想を抱くと思います。
さーて、それでは左上から順次1枚ずつ始めるとしますか・・・
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●フランク・プウルセル・デラックス
フランク・プウルセル・グランド・オーケストラ |
うわあ、いきなりフランク・プウルセルかあ・・・
知ってるよ。音も聴けばああ、あれかってね。
でも、アルバムをわざわざ買う気はしないなあ。
イージーリスニングってやつですよね。
今風に言い換えれば、環境音楽ですか。
口当たりのいいストリングスサウンドが 延々と続くんでしょ。
聴きたければ、純喫茶ルノアールへ行けばいいじゃん。
で、これ買った人のターンテーブルの蓋にはテーブルクロスが掛けてあるんだよねえ。
レコードかけるのに手間暇かけるなって!
で、その隣の懐かしのダイヤル式電話機にはフリルの付いたカバーが巻き付いているんだよね。
いきなり、断定しちゃってだいじょーぶですか?
だいじょーぶだって!
ジャケット写真の赤い服着た女性のファッションは、当時としては流行の先端を行っているのではないかな。
襟元のカットとか、帽子の形で、ツイッギーとかレナウンのCMで一世を風靡したワンサカ娘を思い出します。
♪ィエーイ、ィエーイ、ィエィエーーーイ♪
この60年代ファッションの流れを創った重要なデザイナーの一人、ルディー・ガーンリックについて、やはりジャケットデザインに絡めてこのサイトで書きかけたことがあって、
資料が出てこなくて止まったままだけど、いずれまた書いてみたいと思っていまーす。
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●ジュルジュ・ジューバン・デラックス
ジュルジュ・ジューバンと彼のオーケストラ |
デラックスとオーケストラが続く。(笑)
「夜霧のしのび逢い」って曲が両方に入っていましたよ。
似たようなもんなんでしょ!
値段に眼をやるとこのアルバムを含めて輸入ものは2000円、国内盤は1500円、ダブルアルバムは3000円となっています。
なーんだ、今とあまり変わらないねえ。
輸入ものと国内盤の値段の差は、当時の為替レート1ドル360円(だったかな?)が効いているのかもしれませんね。
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●ステレオ・タンゴ・デラックス
サッソーネとOrq.Tipica他 |
タンゴって日本人は好きだと思う。
数年前、タンゴブームになったけど50年代か60年代にやはりタンゴブームがあったねえ。
アルゼンチンはタンゴ、おとなりブラジルはサンバ・・・
ぼくはタンゴの方が演歌のココロに近いと思っていますが、サンバの方がコンスタントに聴かれているようですねえ。
サッソーネについては、語るべき記憶がまるでないなあ・・・
  (一同うなづく)
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●キングストン・トリオ・デラックス
(唄)キングストン・トリオ |
やっと、(唄)ってのが出てきた。(笑)
「500マイルも離れて」「風に吹かれて」「花はどこへ行った」「レモン・トゥリー」「トム・ドゥーリー」・・・
みんなメロディーが思い浮かぶし、あやふやではあるが歌詞も覚えてる。 単純な循環コードをギターつま弾き、唄っていました。
ぼくの演奏技術はここで止まっているけどね。
フォークブームはぼくたちの中学から高校時代に当たります。
60年代半ばから70年に向けて数年間、ベトナム戦争の激化に伴ってやがて反戦フォークになっていく。
キングストン・トリオのころはのどかだったっすねぇ。
彼らの服装も、東部のスクウェアな学生の典型ですよね。
ブッシュのオフタイムの服装みたい。
そうそう、アイビー・リーガーって言ったっけ。
ボタンダウンのシャツにカーディガンを引っかけて、バッシューはいて青山あたりを歩きまわって、MEN'S CLUBに取材されないかなあ、なんて・・・
「メンクラ」ね・・・ばかだねえ(笑)
バッシューってバスケットシューズのことでしょ。
その頃、まだ「スニーカー」って言葉なんてなかったよ。テニスシューズとどこが違うの?って思ってたんだから。
このフォークブームとビートルズの時代はぴったり重なっています。
では、この前のブームって何かな・・・
プレスリーのロカビリーとカントリーミュージックになりますね。
このころはロック系とフォーク系は補完する関係になっているんです。
ロカビリーの世代はぼくたちより5、6歳上の世代になるかな。
数年後、ぼくが社会人になってから同い年の娘とデートをしたけど、その娘がプレスリーファンで一緒に彼の映画を観に行った。
70年の「エルビス・オン・ステージ」でしょ。ビートルズの解散と入れ違いにプレスリーが劇的に復活します。
ぼくの世代でプレスリー・ファンがいるんだ!って意外な気がしたけど・・・その娘とのお付き合いもそれっきりでしたねえ。
プレスリーのせいにすんなよ!
フン!
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●ジュリー・ロンドン・デラックス
(唄)ジュリー・ロンドン |
上目使いで・・・濃い顔してますよねえ。
このアルバムに収録されてる「想い出のサンフランシスコ」「この世の果てまで」をカップリングしたドーナツ盤と、デイブ・ブルーベックの「テイク・ファイブ」のLPを、最初のボーナスで買ったんだ。なんか、大人の唄ってイメージがあるんだよね、当時。
でも「この世の果てまで」って、こわいっすねえ。食べられちゃいそう。
阿部貞じゃねえぞ!
それじゃ「あの世の果てまで」って・・・
次!!
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●ロジャー・ウィリアムス・デラックス
(ピアノ)ロジャー・ウィリアムス |
ロジャー・ウィリアムスって知ってる?
 
ウウン(一同首を振る)
そう言えば「デラックス」が多いですよね。輸入盤22枚中18枚のタイトルに「デラックス」が付いている。でも、「デラックス」って今では死語ですよ。
ビートルズが「ペッパー軍曹」をリリースするまで、LPレコードはシングルヒットの寄せ集めだった。「デラックス」ってタイトルが多くなるよね。LP裏表一枚約40分をつながりのあるストーリーとして作られた「ペッパー軍曹」は、だから当時として画期的だったんだよ。
「デラックス」で思いうかぶのはアメ車の「キャデラック」・・・「キャデラックス」なんちゃって。
ガタイがでかくて、リアに羽が生えてて、燃費がやたら悪いってやつ。環境に悪そうなイメージですか。
京都議定書に調印しろよな、アメリカ!
ぼくは「デラックス」っていうと、「お好み焼きデラックス」ですね。五段重ねでキャベツとお肉がはみだして・・・
次!!
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●エンリコ・マシアス・デラックス
(唄)エンリコ・マシアス |
エンリコ・マシアスねえ・・・名前も知っているし、唄も聴こえてくれば「ああ、これだ」って言えるけど、忘却のかなたですなあ。
名前からして、ラテン系ですね。エンゲルベルト・フンパーディンクとかいましたが。朗々と歌うタイプだったと思います。
ラテン系はイタリアのカンツォーネもそうですが、朗々と歌います。「浪々派」っていうか・・・
さすが理路整然と説明しますねえ。「リ氏」の「リ」は理論派の「リ」から来るんですかね。
「カ氏」の「カ」は 癇癪持ちの「カ」から取っているようにね。うふふ・・・
あのころ「怒りの小金治」っていましたよね。
アフタヌーンショーのご意見番見たいな落語家ね。
やたら怒りまくって。あのキャラ狙っていたりして(笑)
じゃあ「ン?氏」の「ン」はどこから取ったんですか?
「ばかもん!」の「ん」だろ!
以下次号
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